日本で「こっくりさん占い」を解明したのは、東本願寺のお坊さんの非上円了でした。
明治20年のことです。
そのころ、仏教は苦境にたたされていました。
廃仏殿釈といって、シャカの教えをひろめることは禁じられていたのです。
おまけにキリスト教もさかんな布教活動をしていました。
円了は東京大学文学部哲学科に留学し、近代科学の知識を学び、それにもとついてキリスト教を批判しました。
コペルニクスの地動説によって、バイブルの天動説の立場を批判しました。
ダーウィンの進化論によって、「人間は神がお創りたもうた」とするキリスト教の立場を攻撃しました。
すると、仏教徒が「こっくりさん占い」のような怪しげなものに迷わされているのは、つこうの悪いことにおもわれました。
科学の名においてキリスト教批判をしておきながら、仏教徒が非科学的な世迷い事にふりまわされているのを、だまってみすごしておくわけにはいかなかったのです。
円了は、東京大学に「不思議研究会」をつくり、坪内池遙や田中館愛橘らとともにふしぎ現象の解明にのりだしました。
円了の結論は、マイケル・ファラデーとまったく同じものでした。
かれは、この現象を理解するには、「予期意向」と「不覚筋動」という二つのカギがあると説きました。
「予期意向」というのは、「こういう質問をすればイエスという答がでるんじゃないかなあ」といった、心のなかにひそんでいる気持ちです。
「不覚筋動」は、無意識のうちにおこる筋肉運動です。
円了も多数の実験をとおして解明していますが、その結論によれば、「こっくりさん占い」で装置が動くのは、心にひそむ予期意向を反映して、手をかけている人自身が、おもわず知らず装置を動かしているにすぎないということでした。
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